天気という無難な話題について
Seia

洗濯物を
とりこんでいるとき
すこしだけ
おだやかな気持ちになれる
風を吸った
タオルを
何度か折りたたんで

この先三ヶ月間の天気を
気象予報士が
(あくまでも予想だ)としたうえで
並べるのは
なんだかずるいと思った

天気という
無難な話題を
ひとになげることすら
苦手なまま
おとなになってしまった
まだおとなじゃないかもしれない

今日は寒いですね
翻訳も簡単そうな言葉も
もしかしたら
このひとは
暑いと感じているかもしれない
と考えだすと
利き手が一瞬痙攣をおこす

右上に
視線が動いたら

だっけ
それもまた
嘘だっけ

引っかかったところに分岐点が生まれ
別れたさきのことまで
気になってしまう
目の前に相手がいるのに

左上に
視線がいけば
過去
だっけ
未来だろうか

風が吹く

洗濯物を
とりこむように
もう
すこしだけ
肩の力を抜きたいのだけども


自由詩 天気という無難な話題について Copyright Seia 2017-02-08 19:35:09
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