天気という無難な話題について
Seia
洗濯物を
とりこんでいるとき
すこしだけ
おだやかな気持ちになれる
風を吸った
タオルを
何度か折りたたんで
この先三ヶ月間の天気を
気象予報士が
(あくまでも予想だ)としたうえで
並べるのは
なんだかずるいと思った
天気という
無難な話題を
ひとになげることすら
苦手なまま
おとなになってしまった
まだおとなじゃないかもしれない
今日は寒いですね
翻訳も簡単そうな言葉も
もしかしたら
このひとは
暑いと感じているかもしれない
と考えだすと
利き手が一瞬痙攣をおこす
右上に
視線が動いたら
嘘
だっけ
それもまた
嘘だっけ
引っかかったところに分岐点が生まれ
別れたさきのことまで
気になってしまう
目の前に相手がいるのに
左上に
視線がいけば
過去
だっけ
未来だろうか
風が吹く
洗濯物を
とりこむように
もう
すこしだけ
肩の力を抜きたいのだけども