男二人抱えて
朝焼彩茜色


男二人抱えて
車に乗せる
一人は助手席でもう一人は後ろに
アタシはマントをドアに挟まないように
素早く手のひらにおさめる
全力アクセルであのいつもの坂をゆく
と同時にドリフトで着地する

煙が噴いているが演出だから気にしないでと
ママ友たちに告げる

男二人を降ろし
児童館に入るまでは瞬間移動式マインドシステム
ママ友たちと魔の二歳児エピソード吐き出し
吹き出しに包まれた文句が重ければ重い程速度早く
仕事中の旦那の頭頂葉からゴンって鳴り響き
滑らかな余韻となってメールが届く

労いねぎらいネギが鼻につんとくる
アタシの癒しの食べ物労いねぎらいネギ
マントにくるんで隠しておく

一人の男が泣き出したので三秒で帰宅したかったが
もう一人がぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅ体を反って反って
反って反ってそびえ立つ

アタシの眉間は崩壊寸前で泣こうにも涙腺に栓が詰まっている
マントの奴にカルテに書かれた育児ノイローゼと
栓が詰まっているからね要は生真面目フフンと
大丈夫大丈夫 今からドーナツ買いに行くから
反ってる男にドーナツで釣る

男二人抱えて
車に乗せる再び
ドーナツ屋まで少し遠いが全力アクセルで連続左折の後に
スパイラル着地で鬱憤晴らしさ


錆びれた視界にパステルな登場人物は置者
大丈夫 今日は労いねぎらいネギがある
男二人抱えて
全力で駆け抜ける
客観的マントと共に


自由詩 男二人抱えて Copyright 朝焼彩茜色 2017-02-08 15:32:09
notebook Home