風街ろまん
梅昆布茶
風には色がない
想いにはかたちがない
自身のすべてを解ってもいないくせに
何かをひとに伝えようとこころみるも
手応えひとつ得られず
脱け殻となって
風化する前にもうちょっと
生きてみたいとおもう
正確なものは滅多にないが
でもそれが生命というありかたなのだと
時間には目盛などありはしない
すべての時計が刻むあゆみがそれなりの価値をもつ
それぞれの風の通り道を宇宙が通り過ぎてゆく
森の消失した曠野にムラの瓦解した街にも
いつもある傍に召集令状みたいな請求書
3LDKの二間が空いても家賃¥45,000
Lineの向こう側風邪で寝込んでるらしい君のスタンプ
何度目かの自己破産にて負債がいきる証かとも思う
部屋の隅に置いたガスストーブで僅かの暖をとる純粋労働者たらん
こころには区別がなくて色も滅多に着いていないが
ちびた鉛筆を舐めてもう少しそのスケッチをしていたいと
いつか淡彩で色をのせたら
君に見せてあげたいだけなんだが
風が吹いていた
街は瞬いてたし
夜は意外とみじかく結審して
断罪が確定するだろう
読み返すこともない時間と
相変わらずぼくは変なおじさんだけれどね。