いたる
もっぷ
その少女の心にとって
世界はちいさな鳥籠のようなものだった
清潔な場でなくてはならなかったし
少女も清らかな心を懐いて
完全無欠な美しい絶対の四季の森の湖面に
常にさやかな漣をつくる風のような役割をも求められていた
そうかと思えば そうではいけなくて
色彩は一切 あってはならないものでもあった
白色であっても赦されなかった
性格を持たない透明
先入観のない 得ることのできない 絶対の
あるはずのない透明な箱に
少女の心は閉じ込められていた
誰から? それは 私 から
わたしが詩を書く唯一の動機ですらある その少女は
そのように 実は不自然で歪な世界でしか
心を生きることをしていなかった
ほんとうだろうか と わたしは私に尋ねる
私はきっと泣くだろうそしてそっとしておいてと懇願するだろう
わたしは飢えている私をかならず溺愛するべきだし
私を溺愛することができるのはわたししかいない
きっとわたしには私を諭す切っ掛けなど訪れないままに
いつかわたしは終わるのだろう
私も終わり 少女の心が崩壊する その時
何もかもの終わりの時に
いまからふと 視得る その 瞬間 がある くるうのだ