風邪
乱太郎


冬の群れが私を襲い
迷い込んだ高熱の森で誰かを叫ぶ
私の足腰の筋肉は溶けて
歩く音は電池の切れかけた時計
そして
この時だけは合法と見なされる白い粉を
何度も体内に注入する
四角い部屋が丸みを帯びて
とげのない代わりに水浴びの刑が始まり
悪魔がやたらと微笑む
あいつの正体は悪魔だったのかと
今更だけど気づき
温かい春の歌が聞こえてくるのを
今はただじっと待っている


自由詩 風邪 Copyright 乱太郎 2017-02-04 20:55:31
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