めぐり 潮音
木立 悟




蝋燭で世界を燃そうとするもの
茎も葉も無い花のあつまり
冬の陽を模した手足の舞が
風に風を刻む夕暮れ


冬と 水晶の霧と樹と
エメラルド 空に刺さる音
遺跡を分けるひとつの径
影しか居らぬ真昼の径


小さな響きが
大きな響きに絵を描き
枝から枝へ転がり落ち
凍りついた地を辿る


幾何学の湖面に潜む魚影
雪に降り立つ鳥の羽音
足跡 息
足跡


午後の明るい灰の胎児
枝の海のはざまの虹
巨きなまばたき
静かな湿り気


鳥のかたちの氷山が
川を無数に溯上してゆく
沈みながら笛を吹くもの
水の底で鐘を撞くもの


幾度も幾度も巡るうち
胎児は産み落とされていて
水没した街を漂いながら
降る雪に手をのばし微笑んでいる





















自由詩 めぐり 潮音 Copyright 木立 悟 2017-02-04 08:23:47
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