面影
ヒヤシンス


 優しい薔薇の面影が宙に浮かんでゆく。
 清らかな朝にひとひら。
 穏やかな午後にひとひら。
 荘厳な夕暮れにひとひら。

 天上を舞う天使のようだ。
 聞こえるのは声・・・歌?
 夜空を流れるのは?
 そっと息を吹きかけると花開く一輪の薔薇。

 誰かのための淡い色彩。
 何かのために持ち続ける鋭い棘。
 焦がれる心は何のため?

 焦らず行こうと貴方は言う。
 この薔薇は私です。
 私は宙に浮かぶ私の面影を見ているのです。
 

 
 


自由詩 面影 Copyright ヒヤシンス 2017-02-04 04:13:52
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