緞帳
うみこ
僕は
ウエハースを持って
屋上で月を見ている
ハイウェイを見下ろして
ウエハースだなんておもうよ
月に見とれていたけれど
鳥肌の立つ明け方に
うっすらさよならしていくよ
輪郭を、街は、あらわして
あなたはぼんやり、ぼやけていくね
ウエハース、おいしいよ
真面目に白い顔してる
りんごはブルー、でもあるよ
怪しい冬が去ったあと
北の緞帳あがってく
夜空が澄んで見えている
死なない夜の端っこに
佇むあなたは目を凝らし
川の真ん中、都市高の、屈んだ白い腹を見る
月は一人で白でなく
あなたと冷えて青である
他にはいくつも黄金の
オーナメントが飾られて
死なない夜を湛えた(讃えた)川の
水面をそっくり照らしてる