緞帳
うみこ

僕は
ウエハースを持って
屋上で月を見ている
ハイウェイを見下ろして
ウエハースだなんておもうよ
月に見とれていたけれど
鳥肌の立つ明け方に
うっすらさよならしていくよ
輪郭を、街は、あらわして
あなたはぼんやり、ぼやけていくね
ウエハース、おいしいよ

真面目に白い顔してる
りんごはブルー、でもあるよ
怪しい冬が去ったあと
北の緞帳あがってく
夜空が澄んで見えている
死なない夜の端っこに
佇むあなたは目を凝らし
川の真ん中、都市高の、屈んだ白い腹を見る
月は一人で白でなく
あなたと冷えて青である
他にはいくつも黄金の
オーナメントが飾られて
死なない夜を湛えた(讃えた)川の
水面をそっくり照らしてる


自由詩 緞帳 Copyright うみこ 2017-02-02 15:10:15
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