食べかけの月
カマキリ

空にポツリと佇んでいる
逆さまの煙突は今日も煙は落ち着かない

ドーナツをおでこにあてて
選ばれるのを待っているのだけど
聞こえてくるのは誰かのくしゃみばかり

僕は長い長い道を見ながら浮かんでいる
枯れかけた草や木が
あるはずのない表情を作り出す

悲しいってのがどんなのか忘れてしまったけれど
魚が一回だけ跳ねた湖面に
心が急速に凍りついていくのだけ
それだけは分かっていた

まだ、君の食べかけた月が
夕闇に張り付いている
きっとまた選ばれないから
鋭い風に頬が切れてしまったよ


自由詩 食べかけの月 Copyright カマキリ 2017-02-01 23:53:19
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