やわらかなひかり
コハル
きみのまぁるい頬に
ぼくのこけた頬と
疲れた心をあずける
たちまち
宇宙と混ざり合う
ぼくだけでなく
きみも 宇宙も
一切の記憶を失い
彼方まで届く光
消えない光となる
きみのまぁるい頬が
くれた 春の生るい風
ふるさとの波音
赤子の泣き声
母の遺言
知らない土地を
歩き回る意味
数えきれない
キスと喧嘩と抱擁と
ハンバーグの美味さ
焼きたてクッキーの匂い
ああ 生きている
今日も きみと
それから
きみのまぁるい頬が
多元的な宇宙だったこと
やっと気付いた
いつかぼくの魂がさまよっても
きみのまぁるい頬を
目指して帰るから
そこに
居てくれ