海が焼ける
竹森

ウサギが大人になって
ウサ耳美少女になったとして
そのソープランドの名前は
"生足ホイホイ”
俺は己の罪を赦すために
更に大きな罪を犯すだろう
要するに
俺は地図にその楽園を
"コンビニエンスストア”とだけ書き残した

木の枝に引っ掛けたキーホルダーの
キャラクターだけを抜くのでリングとネジの
無数に垂れ下った老木を前にして
祈る痩せた子供たちも居なくなり
それから先は数えていない
大地の一面は永い間
ひび割れた褐色の肌に覆われたが
建物も生命の影も何も無くなったその場所に
白い浴槽だけが、残っていた

太陽が大地の目前に迫った時
とても大きな地震が起こり
錆びた排水口からゴポゴポと熱湯が溢れ出し
いずれ浴槽を溢れ
大地を覆い尽くした

太陽に向けて沸き立つ海の底
浴槽の壁にこびりついていた
彼女の長い髪が
彼の縮れた毛が
浮かび上がり
細かい気泡を出しながら溶け
そこから
生命が溢れ出した


自由詩 海が焼ける Copyright 竹森 2017-01-29 01:07:44
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