わたしが眠れないとき
オイタル
わたしが眠れないとき
眠れないことを
わたしは
よく噛んでいる
わたしが眠れないとき
曲がった中指の先の届く距離に
耳の史蹟を
置く
わたしが眠れないとき
花花が群青色の香りをはなつ
(その花は
暗闇の中で
火を放つもの)
わたしが眠れないとき
人々が小さな穴をいくつも穿つ
(人は
小さな穴に
静まって)
夢は眠りの輪郭を越えて滲み出す
軋み出す夢の眠りの泥濘
ぬかるむ夢の卵 地卵
滲まぬ夢の先の
染まぬ
気が付くと
なぜか
眠れないわたしのときのように
眠れないわたし