風をうたう
水菜

河川がわらう
私のしたのだれそれに、私に、ふまれてきた、歴史ある石畳がわらう

なにをそんなに、しみったれた顔しとるのじゃ

と、かれらは、わらう

私は、私たちは、人工で加工され補強されとるけれども、
私は、私たちの本分のなかで、美しくある

なにをそんなに、悲観しておるのだと

橋のなま、つめたい、ざらざらの石橋がわらう

私は、造った人の顔を声をここを駈けぬけたさまざまな生きている音を聞いてきたぞよ

と、わらう

わらう

風をうたえ

なにをそんなにしみったれた顔をしているのだ

風をうたう
駈けぬけた
風をうたう

一秒まえは、過去となり

私たちは、常に、意識のなかで過去しか認識できない

けれども、せめて、足だけは、前をむけ

心が、一秒まえの過去にとどまった心が、

前をむく足においつくように

せめて、足だけは、前をむけ

駈けぬけた
風をうたう

風をうたいたいから


自由詩 風をうたう Copyright 水菜 2017-01-26 03:05:24
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