それからは賢くしずかに暮らした
初谷むい

わたしたち、枯らした植物埋めちゃって、そこを幕府と呼んでいました。

ドアノブを直せると言う同僚に秘密をちらして直してもらう

とわいらい 眠るあなたが重いのはわたしを忘れたあなたの重さ

叩いたらきみは倒れるふりをした息止める遊びしたことは?ある?

あげた花の花言葉いいかんじでよかった あなたの銀歯はかっこういいよ

肺で咲く口約束が花火みたいわたしははなびらはなびのこども

ラブホテル、窓がないからおひさまに愛してるって言えなくて好き

いっつも期間限定の酒 呪いってキスで移るしこわくないって

夜は夜 あかるい排泄 好きな場所は倉庫 いっしょにいよう

抱かれると抱きたくなって存在がぎゅっとしていくぎゅっになっちゃう

夢のようなきみのことバンビちゃんって呼んじゃうよバンビちゃんぼくの手から水を

今年の漢字は愛 脳みそを嗅ぎたかったその上で肯定しちゃいたかった

おまじないをきみに 天国なんてないここが天国だから あげます


短歌 それからは賢くしずかに暮らした Copyright 初谷むい 2017-01-20 12:20:58
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