木登りが得意な子のこと
凍湖(とおこ)

うあうー

きみは言う

わあー

と言う

きみのことばは これだけ
たぶん ずっとこれだけ

そしてとても饒舌

声色は
青く沈んだり
黄色く浮かんだり

好物を前に
目は猫のごとく光り
口はにやっと広がる

さみしさはいつも
お気に入りの毛布のなかに

きみのことばは 豊饒な森


四角い文字ばかり追うわたしと、わたしたち
どうかその森が 霧のむこうにあるのを
彼のせいにしないでくれ

森には青く芳しい
彼だけの
宝があるのだから


自由詩 木登りが得意な子のこと Copyright 凍湖(とおこ) 2017-01-19 20:57:03
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