可否道その7
st

すべてが凍りつくような 氷点下の冬に
かならず飲みたくなる クリーミーで濃く
熱いエスプレッソ

枯野をわたる 木枯らしに乗り
舞い踊る白雪たちを しずかに見続ける
午後のひととき

古いスイス製マシンのボイラーに
ひさしぶりに水をいれ
粉なしでセットし  試運転する

2分くらいで シューシュー 
ボコボコと音がして 
熱湯が落ちてくる

深煎りのまめを 手回しミルで粗挽きし
エスプレッソ専用ミルで 極細挽きにする

粗挽きしておくと
極細挽きにする時に 熱の影響が少ない

本場イタリアの エスプレッソは
少し深煎りの フルシティーローストまで

イタリアンローストの超深煎りは 
日本だけらしい

本番の水をボイラーにそそぎ 
粉をセットし

フィルターホルダーをはめ込み
デミタスカップを置いて 
スイッチをオンにする

蒸気圧で抽出される時の
独特の香りが 部屋中にひろがり

エスプレッソコーヒーが
クレマ(泡)とともに
落ちてくる

その味わいはあくまでもマイルドで
ぽってりとしたクリーミーなものだ



自由詩 可否道その7 Copyright st 2017-01-18 07:15:06
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