可否道その7
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すべてが凍りつくような 氷点下の冬に
かならず飲みたくなる クリーミーで濃く
熱いエスプレッソ
枯野をわたる 木枯らしに乗り
舞い踊る白雪たちを しずかに見続ける
午後のひととき
古いスイス製マシンのボイラーに
ひさしぶりに水をいれ
粉なしでセットし 試運転する
2分くらいで シューシュー
ボコボコと音がして
熱湯が落ちてくる
深煎りのまめを 手回しミルで粗挽きし
エスプレッソ専用ミルで 極細挽きにする
粗挽きしておくと
極細挽きにする時に 熱の影響が少ない
本場イタリアの エスプレッソは
少し深煎りの フルシティーローストまで
イタリアンローストの超深煎りは
日本だけらしい
本番の水をボイラーにそそぎ
粉をセットし
フィルターホルダーをはめ込み
デミタスカップを置いて
スイッチをオンにする
蒸気圧で抽出される時の
独特の香りが 部屋中にひろがり
エスプレッソコーヒーが
クレマ(泡)とともに
落ちてくる
その味わいはあくまでもマイルドで
ぽってりとしたクリーミーなものだ