人の心の中はいつも
塚本一期
真っ白な粒状のものが、視界にいっぱいだった。
彼女は言った。風呂場で肌を擦って、垢を消しゴムのカスみたいにするから、汚ねえからやめろって言ったんだ。そしたら笑って「消しゴムのカスみたいだからいいんじゃない。私は自分を消してるのよ」って。
最終的に、私たちの迎えた結末は、周囲の人々に祝福してもらえるようなものではなかった。私は初めから、そういえば生まれたときから、祝福されてはいなかった。
私を赤ん坊のように大切に扱い育ててきたのは、彼ただ一人だった。
日々を共に暮らし、一緒に年老いていくことに決めたのだ。彼に先に家族さえいなければ、私はいつか、祝福されていたのかもしれない。
俺は眠るとき、よく目から涙を流した。なんの感情もないのにも関わらず、いつも勝手に涙は出た。次の朝を待っている間、冷たい藍色がただ広がり、画質の悪いテレビのように内側から明るい藍色が広がっていくのが繰り返し見えた。俺は明日を愛していなかった。
人間がいるだけで心臓が潰れそうになるほど恐ろしく、人間がいないと生きて行けなかった。
私はこれ以上どうやって恥を晒していけばいいでしょうか?