あかいボタン
水菜
小指ほどの小人が縫い付けているのは、
あかいボタンでした
繕いものは、みるみる整って
小人は、満足げに嘆息しました
小人は、やわらかな綿そのものを布団にしてくるまると
月を見ながら涙しました
次の日、青い目のえっちゃんのもとに
繕ってあかいボタンを縫いつけたあかいカーディガンを持っていくと
えっちゃんは、瞬きを二回だけしました
えっちゃんのありがとうの合図です
小人は、じんわりする涙をこらえて、照れ笑いしました
満月の夜に天使が小人を迎えに来たとき
小人は、ちいさく瞬きました