(野 かぜ)
「ま」の字
風神ひとり帰り
姿
踏まれぬ路を ザザと縫う
川すジかくしタ 野ノ原 の
雷神亡いた ヵ ザザと 縫う
たちあがっ て ハ 「ぁ!」
さ
むザ ム ひ とり
せなか見送れ しゃうじゃう と
雲しろジんろ の
生存の 有り
濡れたモノでも トび立つものは
裔か 麦わら。 ダい だ ダい
しがみ附こうも 揺れ濡れ テ
草間ニ 震え、
あおぞら 悲しタ。
淋しきゃないさ 腕張 レバ
きらきら つきん と 肩ヴぁ鳴リ
〈鈍く 痛シく〉
鳥か つぶて カ
びゅうト翔ぶ
/くすら くすくす
びゅうと翔ぶやら 鳥の眼が
みえぬ
風神 草分けの路
わたしパ
死ンデ 子供で 見た日か
自転車
奔り
老いで 見た陽か 廃堤ハ
豊シ
裕ケシ 葦原の
魂の 鎮めぞ 飛ぶトりの
眼球ノ 澄みつつ
淋し さむしき
鼓 模すくち 人のくち
弔いの声 鉦のこえ
雷神亡いたヮ ヤレほほぅ
夕陽ヒかるヮ ワレ ほホぅ
駆ける子泣く子 鉦叩クひと
往くな切なヤ 胸たたく
穂波の間から 行く列 の
とおき ちいさキ
姿バかり
いつか いつやら 覚つかず
もの
支す 肩も 弱りゆき
朽ちてク 肩は 翳り 往く
雨滴ちぎれん 日は流ル
風神ヒトり 野を渡ル
残るお前で
野を揺らす
亡き少年神のために
去(イ)にし少年神のために
我が少年時代のために