(野 かぜ)
「ま」の字

風神かざかみひとり帰り姿かげ
踏まれぬ路を ザザと縫う
川すジかくしタ 野ノ原 の
雷神亡いた ヵ ザザと 縫う
たちあがっ て ハ 「ぁ!」

むザ ム ひ とり
せなか見送れ しゃうじゃう と
雲しろジんろ の
生存ときの 有り

濡れたモノでも トび立つものは
すえか 麦わら。 ダい だ ダい
しがみ附こうも 揺れ濡れ テ
草間ニ 震え、 
あおぞら 悲しタ。
淋しきゃないさ 腕張 レバ
きらきら つきん と 肩ヴぁ鳴リ
〈鈍く 痛シく〉
鳥か つぶて カ 
びゅうト翔ぶ

/くすら くすくす


びゅうと翔ぶやら 鳥の眼が
みえぬ風神ふうじん 草分けの路
わたしパ ンデ 子供で 見た日か
自転車はし
老いで 見た陽か 廃堤ハ とよシ ゆたケシ 葦原の
たまの 鎮めぞ 飛ぶトりの
眼球たまノ 澄みつつ さみし さむしき

つつみ 模すくち 人のくち
弔いの声 鉦のこえ
雷神亡いたヮ ヤレほほぅ
夕陽ヒかるヮ ワレ ほホぅ
駆ける子泣く子 鉦叩クひと
往くな切なヤ 胸たたく
穂波の間から 行く列 の
とおき ちいさキ 姿かげバかり
いつか いつやら 覚つかず
ものす 肩も 弱りゆき
朽ちてク 肩は 翳り 往く
雨滴ちぎれん 日は流ル
風神ヒトり 野を渡ル
残るお前で
野を揺らす






              

           亡き少年神のために
            去(イ)にし少年神のために
           我が少年時代のために



自由詩 (野 かぜ) Copyright 「ま」の字 2017-01-14 18:39:20
notebook Home