可否道その5
st

フラスコの下で 
オレンジの炎がゆらめく

神秘的な炎の
ゆらめきの振動のサイクルは
短い周期と長い周期の
α振動とβ振動

アルコールランプを
2つ並べてみるとわかる

全く同じ振動で
ゆらめく2つの炎の共振に

いつもひきつけられる
サイホンでの抽出の
おもしろさ

ロートには 
少し粗挽きのコロンビアが
こうばしいアロマを放ち
部屋全体に ひろがっている

すこし温めたお湯をそそぐと
フラスコからすぐに 
ジンジンと音がする

湯量はフラスコの三分の二くらい

沸騰しはじめた フラスコは
ロートを待っている

ロートを差し込むと 
ボコボコと音がして

お湯はフラスコに少し残して 
ロートへと上がってゆく

蒸気圧によるものと 
わかっていても おもしろい

まるで魔法のような光景に
ひきこまれる

ロートの上部に浮いた粉を 
竹べらでほぐしてやる

ロートの中の茶色の泡が 
薄茶色となり

やや白色を帯びたあたりで 
抽出完了となる

アルコールランプを消すと 
ロートからフラスコに
出来上がったコーヒーが降りてくる

サイホンによる抽出は
まるで化学の実験のようで
何度みても 楽しいものだ

その味はというと 

ロート内の温度が
自然に適正な温度の 
90度くらいになるので

失敗の少ない トップクラスの味となる



自由詩 可否道その5 Copyright st 2017-01-14 04:10:15
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