あまい雨
田中修子

となりでこんこんとねむっている君は
いま、夢の旅のどこらにいて
どんな風景を見ているのだろうか

空を飛んでいるのかな
くらい深い海に潜っている?
なにしろきみは獣だから
草原を走っているのかもしれないね

ねむりはちいさな死というけれど
ねむりは旅
たくさんのみずからと出会う旅

ゆきかうひと
金にかがやく雲
夜の空にきらきらひかる星
海にすべるように泳ぐ
銀や金の魚
かけぬける草原に
パっとちらばる花でさえ

あれは
すべて
君自身だ

君がねむるとき
ねむれないわたしが横にいるとき
君はとおいとおい旅に出ている
わたしをひとりぽっちにして

規則正しい寝息は
スタスタと私から遠ざかる足音

わたしをおいていかないでと囁いても眉をしかめる
そっと布団から出て泣いた

きみの夢の中
わたしの
あまい雨が降っている


自由詩 あまい雨 Copyright 田中修子 2017-01-11 08:10:05縦
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