布団
塚本一期

許して下さい、社会。
もう払うお金がありません。
社会、もう虐められるのは
たくさんです。
もう慣れた、もう飽きた。
そろそろ違うことが起こってもいいのに、私の
救世主は、現れない。正直に
生きてきた。人を
愛した。憎んだ
こともあった けれども それは
一瞬の
ことだった。ぼくは

どちらかといえば、
善良だった。
叱られながら
働いた。
遠くに
友達も、いた。誰も
ぼくを助けることが
できなかった。
虐めることは
簡単に、できても……。

今年の元日は
雪国の道路にも
雪がなかった。
胸がじくじくと痛んでいるわけを考えているけれども
これはきっと、ぼくが
知ってしまったせいなんだ。
ぼくはまだ、ぼくの命を
繫ぎ止めるほどの絆を
この世で
見つけては、いないんだと。
ぼくはほんとうに ひとりぼっちだと
分かってしまったせいなんだ。

2017年1月1日


自由詩 布団 Copyright 塚本一期 2017-01-09 19:53:29
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