水溜まり
吉岡ペペロ

昭和13年の正月にタイムスリップしていたのだ

女は着物か着物っぽい洋装をしていた

喫茶店では皆姿勢が良かった

会話の声はさ行が強調されて聞こえた

新聞はどれも昭和13年の正月のものだった

水溜まりはぱりんぱりんと言って割れた

日の丸の旗が庭先から道に幾本もしなだれかかっていた


自分を殺して生きていた

ぼくは死にかけていた

もう傷が治らないかもしれない

ぼくは心中事件の生き残りだ

知らなくていいこともあるのだ

ぼくは病室で目をさました


昭和13年の正月にタイムスリップしていたのだ

女は着物か着物っぽい洋装をしていた

喫茶店では皆姿勢が良かった

会話の声はさ行が強調されて聞こえた

新聞はどれも昭和13年の正月のものだった

水溜まりはぱりんぱりんと言って割れた

日の丸の旗が庭先から道に幾本もしなだれかかっていた






自由詩 水溜まり Copyright 吉岡ペペロ 2017-01-08 17:50:49
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