螺旋の真中
プル式

透明な夜明けの
水たまりを
踏んで
波紋の中に
映る
歪んだばかりの
僕の顔
風の音は
小さな吹子で
耳に渦巻いて
意識を攫う

笑い声
雨は降らないって
手にした傘を
じっと眺めて
それが悔しくて
大声で歌う
金魚のように
いつまでも
頭に響く遠の声

宛先のない
真っ白な手紙の
裏側を埋めた
僕の真っ黒は
夜空に少し似て
所々少し白い

ほら、
朝が来た
月が薄笑いを隠す
音の消えた
僕の遠吠え。


自由詩 螺旋の真中 Copyright プル式 2017-01-08 00:11:54
notebook Home