水菜

とぐろを巻いていた竜が
私に向かって来たとき
私は、白いガーベラの束を右手に掴んでいました
空は白く濁っていて
地面は、乾燥し、砂の美しい模様が遠くの方まで続いていました
左斜め上の方から、熱い太陽光が照りつけているのを感じて
私は、真っ暗な洞穴のような目を閉じました
竜は、何か怒っているかのようでした
瞳の奥はまるで金に染まる夕刻直前の砂丘のようでした
竜に金の鎖を差し出すと
空は呼吸をしなくなり
黒く閉じた口元から
水のように
きらきらと星たちを吹き出しました
赤く染まった竜は、私を飲み込み
星たちは水として砂浜に染み込みました


自由詩Copyright 水菜 2017-01-06 22:58:11
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