夢見る丘
水菜
ぼかぁ、馬鹿なんだよ
ぼかぁ、馬鹿なんさぁ
白い丘から見下ろす風を、身体全体で感じ取って、
僕は、只々、自分を見下している
僕の心の中に住み着いている奴らに、
必死で歯向かおうとしている
その顔をひねりつぶそうとして、
苦虫すりつぶしたような顔をしている
元気になれよと、あっけらかんと、爽やかに笑う奴に、憎しみを感じる
そんなに簡単に、しがらみを捨てられたら、どんなに楽かわからない
もっと、明るくなれよと、親しげに肩を叩く奴に、ハリネズミのように、全身の針を立ててやる
目に浮かぶ光景がある
冷たい雨に打たれて、それでも、泣きながら笑っていた奴
グッバイ
そいつはもういない
夢見る丘の上で、僕は、腕を広げる
見上げた空は、死ぬほどまっさらで、抜けるように青かった
青空に舌打ちをして、僕は手を握り締める
幼い頃の君に
悪態をついてやる
小さな声でそういってやるから
悔しがって泣けばよい
僕は、夢見る丘で、空ばかりみて