赤い血流し そうながし
水菜

あのやまのむこうから、ながれてくるのは、いくまんのも、赤い血です。
わたくしは、いま、ゆびさきを、ほそい きのえだ のさき で、きりましたが、
ひどくかさなってみえるほどに、おもかげは同じです。
言霊がふわふわと浮いているのは、ひとのおもいの それぞれひとつです。
ゆげになってしろくあがってまいります。
わたくしは、どさりと草原にねころがって、
まっくらな夜空をながめました。
あきれるほど長い時間、そうしておった私の目前に
うきあがって見えてきたものがございました。
ふるほどに 浮かぶ 星
いくまんのも星にのまれそうになって
わたくしは、ひとつの星になっていく
そんな幻影をみたようでした。

ながれてくる幾万の赤い血は、
わたくしの中には流れてはおりませんでした。

枯れすすきのように、
赤い川が
そうわたくしに、かたりかけたかのように
風に首筋をなでられました。



自由詩 赤い血流し そうながし Copyright 水菜 2017-01-03 18:57:48
notebook Home 戻る