あなたのいない夜に
霙小町


 しんと静まる世界に
 取り残される
 眠れないわたし
 あなたのいない夜に
 眠り方すらわからない

 そっと吐き出したネクタリンの皮
 大人になりきれない
 切れ端のわたし
 みずみずしい唇は
 濡れたまま
 さまよって

 甘いより酸っぱいを
 こころがキリリと
 締めつけられるような
 快感を含みたい

 ひっそりとした夜に
 口寂しいのね
 寝転がってひとくち
 伝う果汁にきのうのあなたを思って
 こころがキリリと
 締めつけられるような

 ああ なんて酸っぱい



自由詩 あなたのいない夜に Copyright 霙小町 2016-12-29 02:11:02
notebook Home 戻る  過去