夜鉱街
木立 悟





光の柱に指を寄せ
確かめながら触れてゆく
光でも水でもあるかたちまで
幾度も幾度も確かめながら


芯には幼いものたちが居て
はじまりを忘れてははじまってゆく
水と光の向こうには
城と壁が歪んで揺れる


夜を渡る音
雨から雪
硝子の径
空を鳴らす鉄の樹々


囲まれながら
閉ざされながら
青空の影を引き摺りながら
無数の入口のなかに出口を欲めながら


道端の
今にも倒れそうな石の祠を
子を抱いた子がすぎてゆく
前髪の雪もはらわずに


ひとつから開く細い網が
青から蒼へ空に貼り付き
帰る場所の無い音を聴いている
冠水をゆく影を聴いている


指で指に冬を描き
冬も指も消えてゆく
城より高い地に拡がる街へ
開門の時が訪れる日に



























自由詩 夜鉱街 Copyright 木立 悟 2016-12-28 08:59:31
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