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ヒヤシンス
忘れ去られた思い出を戸棚の中から取り出してじっと見つめる。
淡い色に変色したノートや書籍。
どこの国の物か分からない人形。
出し忘れた葉書。時を刻まなくなった時計。
遠い記憶は削除できない僕の履歴。
幼い僕は窓辺に座り誰かの帰りを待っていた。
窓の外は寂しいくらいの夕焼けで。
その時僕は泣いたのだろうか。
残酷で美しい記憶。
消えない夢の通り道。
自由を覆いつくす束縛。
奏でる時にあの頃の夕焼けが蘇る。
炎のように魂が鼓動する。
内なる目が全てをじっと見つめる。
自由詩
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ヒヤシンス
2016-12-28 06:04:48