LED 
小林螢太

離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな 接続詞を
あてがい続ける

たくさんの 繊細な傷を
指でなぞり 再生して
ゆめに潜るように
夜へ おちていく
もういちど



 よるのとばり
 明滅する LED
 その光が
 とても さびしいね



三色に染まる 夜空
その足元に ながれている
乾いた空気
振動する半導体のおと
情景だけを 掬い取る



 冷えたからだを
 暖炉で あたためてやると
 ほの白く 光っているようで

 このミクロな物体が 放つ
 不安定で あやふやな もの



途切れったファイバーの 
循環する ループの狭間から
かぎりなく ゆるやかに
再生された
無色の ひかり (LED



 その 冷たい瞬きで
 暖をとるように
 身を 寄せながら
 ぼくたちは 歩こう





自由詩  LED  Copyright 小林螢太 2016-12-24 23:50:09
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