LED
小林螢太
離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな 接続詞を
あてがい続ける
たくさんの 繊細な傷を
指でなぞり 再生して
ゆめに潜るように
夜へ おちていく
もういちど
よるのとばり
明滅する LED
その光が
とても さびしいね
三色に染まる 夜空
その足元に ながれている
乾いた空気
振動する半導体のおと
情景だけを 掬い取る
冷えたからだを
暖炉で あたためてやると
ほの白く 光っているようで
このミクロな物体が 放つ
不安定で あやふやな もの
途切れったファイバーの
循環する ループの狭間から
かぎりなく ゆるやかに
再生された
無色の ひかり (LED
その 冷たい瞬きで
暖をとるように
身を 寄せながら
ぼくたちは 歩こう