ふたつ 満ちて Ⅱ
木立 悟







額の上の
紙の風見鶏
けだものはただ聴いている
手のひらのなか冷える円柱


空のはさみ
晴れとしずく
風と渇き
音と苦み


筒の空を伝う水
上の上まで雨と虹
震え 震え 降りそそぐ
裂けめに咲く花 降りそそぐ


何ひとつ思い出せない朝に
時計は壊れ
繰り返し示されたはずの事どもが
涙のなかに消えてゆく


呑んでも呑んでも降る風に
震えと光は増してゆく
ひとつの立方体の内側に
膨らんでゆく双つの球体


どこまでも冷たい手のひらに
火は まとわりついてゆく
夜の天気雨 夜の虹
風の終着のけだものを呼ぶ

























自由詩 ふたつ 満ちて Ⅱ Copyright 木立 悟 2016-12-24 23:48:53
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