あじけない部屋にて
ヒヤシンス


 雄大な光景が私の心の襞に響く。
 山々の稜線が音楽のように流れて見える。
 私は絵画の前で瞑想しながら感動している。
 窓の外には現実が眠っている。

 何かを感じる一瞬間、人の心は純白だ。
 思考はその上からあらゆる色を付けてしまう。
 瞬間の純白だけをつなぎ合わせて、私は夢を見る。
 水晶を造形する心の動きだけに浸っていたい。

 青く濁る現実からは逃げられない。
 夢は現実の中で見るものだ。
 せめて心で感じた純白に全神経を触れさせたい。

 絵画の中で山々は息づいている。
 瞑想は続き、心の水晶は輝きを増す。
 部屋の中にはバッハのパイプオルガンが鳴り響いている。


自由詩 あじけない部屋にて Copyright ヒヤシンス 2016-12-23 05:00:23
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