あじけない部屋にて
ヒヤシンス
雄大な光景が私の心の襞に響く。
山々の稜線が音楽のように流れて見える。
私は絵画の前で瞑想しながら感動している。
窓の外には現実が眠っている。
何かを感じる一瞬間、人の心は純白だ。
思考はその上からあらゆる色を付けてしまう。
瞬間の純白だけをつなぎ合わせて、私は夢を見る。
水晶を造形する心の動きだけに浸っていたい。
青く濁る現実からは逃げられない。
夢は現実の中で見るものだ。
せめて心で感じた純白に全神経を触れさせたい。
絵画の中で山々は息づいている。
瞑想は続き、心の水晶は輝きを増す。
部屋の中にはバッハのパイプオルガンが鳴り響いている。