短詩2篇
白島真

「笹舟」

ほそくふるえる茎をくわえて吹いてみた
ちいさいころの夕焼けが鳴った
百日紅さるすべりのあった空き地
少年探偵団のぼくが落とした時間
材木屋のある路地は行き止まり
ふたごの姉妹の尾行はあきらめた
突然の電動カンナの音に若木たちは逃げ
ふたりで編んだ笹舟は
いつもつかえてとまってた



「空」

空が炎える
戦火のない眩ゆさを
ひとは求めているはずなのに
空が炎える
深紅をうつろい染めて
残雪はうつくしい花の体温に溶けて


炎える空は
だれのものですか
うすい花弁は
雪の重さで散りますか


一発の銃声がこころを砕き
温かい指先で だれが
だれが深紅の薄氷を掬いとりますか



自由詩 短詩2篇 Copyright 白島真 2016-12-22 14:36:40縦
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