出かけたときの服装は裸でした
由比良 倖

私は私の電源を切りに出かけたまま帰ってきません
笑うと笑いじわが出来て、厭ですね、死にたいですね
だから私は帰ってこなくていいんです、死にません
どうやら魚は生き物では無いようなので
マイナスの温度の海で、柔軟体操します
内蔵が目を開けると黄緑色に見える世界の果て
それさ、起きてると身体が重いんです
だから私は消えようって、地球の根っこから切り離されようって
出かけたまま、でも私は一晩歩くごとに死なないと、
街をぶくぶく着込んで着ぶくれて、
もう、頭の骨ひびが入ってたんですよ。
カラフルな継ぎ接ぎにぎゅうぎゅう圧縮されて、
それなのに、誰も音楽を止めない、
せめて私は獣みたいに扱われて、
夢見のいい麻酔銃で四方八方から狙い撃ちされたい。

それだけなのね。


自由詩 出かけたときの服装は裸でした Copyright 由比良 倖 2016-12-20 17:42:47
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