冬とむらさき Ⅱ
木立 悟






何か小さな祝いの言葉が
ずっと背中に降りつづいている
鉛の泡
砕ける冷たさ


夜が夜を着ては脱ぎ
雪を渡る光を見ている
そそぎ そそがれ
そよぐうつろ


毛糸の花が地と空にあり
互いを見つめ 揺れている
雪を昇る手
曇の色の手


雨が遠い山を灼き
坂へゆく径を照らしている
虹を持たない空の淵に
陽の柱は立ち並ぶ


凍りかけた光から
水の名を呼ぶ声がする
夜へ夜へ向かう河
生まれたばかりの星の波たち


蒼がつもり むらさきになり
灯をひとつ隠し 眠りゆく
またひとつ またひとつ
そよぎゆく


























自由詩 冬とむらさき Ⅱ Copyright 木立 悟 2016-12-19 09:04:30
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