貝のオルゴール
小林螢太

まっ白で
海の波とうねりに
磨かれた貝の
欠片を集めて
ぼくはオルゴールを
つくった


貝でつくったオルゴールが
奏でる音色は
聞いたことのないメロディー
なのだけれども
どこか懐かしく
また
どこか寂しくもある

その音を聞きながら
ぼくは
いつしか眠りにつく


そして夢をみる
青い海の
光が僅かに届く位の深さで
ふわふわと漂う
ぼくがいる
起きているのか
寝ているのか

それともそれは
本来のぼくではなく
それ以外のぼく
なのかもしれない


眠りから覚めると
オルゴールは
貝に戻っていた
すっかり古ぼけて
そしていつか
海に還っていくのだろう




自由詩 貝のオルゴール Copyright 小林螢太 2016-12-17 22:54:23
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