夜風に惹かれて
乱太郎



瓢箪から駒でなく
駱駝の瘤に乗った一等星
此処は
ソロモンの王冠
もう一度聞く 此処は
十二時の馬車がやって来て
瞼の億で歌い出すもうひとつの物語
此処は
仮面舞踏会の扇
聞こえているのでしょう 此処から
夜風に惹かれて
私は既に夢遊病者

鬼の目にも涙もあろうが
アドバル―ンから落ちる月の石
あれは
噂のさそり座の女
なのだろうか いややっぱりね
二度とない 人生の無人の通り駅で
乗り過ごしてばかりの売れない三流小説
聞いて
三十二回転のレコード盤
決して割れてしまわないように それから
夜風に巻かれて
私はやがて溺れてしまうのだろうね


自由詩 夜風に惹かれて Copyright 乱太郎 2016-12-16 07:54:36
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