暗輝 はざま
木立 悟





何もせず
ただ見ているだけの空に向かい
皆 手にしたものを次々に投げつけ
空はさらにかがやいてゆく


水へ水へ溶けた景色が
浮かび沈み 夜になり
駆け降りてくる空に照らされ
蒼と白に分かれゆく


踊るように黒く
水底で腕ひらく陽
荒れ野をふちどる風
どこまでも漠然とした緑の波


雪の衣
器のなかの岩の蝶
クレーター 氷の祭壇
土の下を流れる視線


鉄柵の前の小さな踏み台
霧と林のはざまの橋が
終わりの標のように立ち
雷雲の上を睨んでいる


暮れのままの川
熱の紙を浸す色
稜線をつなぐ光から
幽かなうたが吹いている


駆け昇る轟き
地に残る銀
影は双つ 踏み台に乗り
到かぬ夜に手をのばす





























自由詩 暗輝 はざま Copyright 木立 悟 2016-12-12 20:26:09
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