帰路遍歴
伊藤 大樹

帰るとおそらく
ポストに残暑見舞が残っている
自動ドアを命からがらくぐり
人口のぶんだけ並ぶ自転車の中から
くすんだ青い自転車を探して跨り
坂を水銀のように走る僕がいる

帰るとおそらく
僕を二人の男が待っていて
一人はまもなく銃殺刑に処せられ
一人は永い氷河時代を生きるだろう
(僕というこの無慈悲な殺生獣のために
 埋葬すらされないままで)

ダガ僕ガ本当ニ帰ルト
部屋ニハ誰一人トテナイノダ


自由詩 帰路遍歴 Copyright 伊藤 大樹 2016-12-11 11:07:46
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