すみれでいっぱいになった
はるな

だれかのためにしたいと思うとき
胸はすみれでいっぱいになった

雨のあとのコンクリートみたいにふしぎに澄んで
すみれでいっぱいになった

そもそものはじまりとして
世界は美しく
ひとはひとりでばらばらだから
ばらばらのすきまがいっぱいになった

望んだり離れたりしながら
愛っていいだけのものじゃないと思う
いいものじゃないと思いながら愛するとき
胸はいっぱいになった
世界じゅうが世界でいっぱいになった



自由詩 すみれでいっぱいになった Copyright はるな 2016-12-10 20:45:07
notebook Home