刹那
草野春心



  ふた房の葡萄を 若草色の椅子に居って
  獣じみた何ものかがムギムギと喰っている
  葉群れの隙 測られつつある距離のように
  細く長く伸びていく耳鳴りになりながら微光が
  わたしたちを追う……? 否、わたしたちが追う!
  はじけていく・はじけていく・はじけていく
  さむいから、コートのボタンを上までとじ
  安らげる魂など愚にもつかない、そう断じ
  現在という時、の、ような
  目眩くきわどさに裁って




自由詩 刹那 Copyright 草野春心 2016-12-10 18:06:24
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