冬と射手
木立 悟






緑の下を濃緑が
水のように流れゆく
化石の木々から
止まぬ震動


硝子に分かれる
もうひとつの径
岩穴の向こうの
凍てつく群れ


布 麻
消えかけた火花
明るい色の果実の皮
午後のための髪留めたち


滴鉱 まばたき
月は水に戻れずに泣き
雨 光 坂 岸
ひとつの銀の手のひらに漂う


くちびるの血の原
時おりすぎる羽の音
むらさき むらさき
涙のなかの不可逆の陽


凍土の光が波打ちながら
月をどこかへ連れてゆく
灯る窓の少なさを踏み
震えは銀を放ちつづける




















自由詩 冬と射手 Copyright 木立 悟 2016-12-08 10:14:54
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