黄色い目
水菜

私は、黄色い目がきらいです。黄色い目は、 いつだって、雨の日にあらわれます。ぱちんぱちんって、雨が雨戸にあたったり、軒下に溜まったりする頃、黄色い目がやってくるんです。

ぱちんぱちんって音をさせて、 いつだって、黄色い雨靴と、黄色い傘を自慢げに掲げてぱちんぱちんぱちいぱちい一つつうっ一つつつぱちいぱちいぱちい黄色い目は、 時々、 嗚咽みたいなのを零して冷たい雨に濡れるのも構わずに、ぬるい泪を流します。ぱちいぱちいって、黄色い傘を雨粒が弾きます私は、きらいな黄色い目をみたくないからその日は、お母ちゃんに頼んで、真っ赤な軽自動車で迎えに来てもらいました。

ぶふうんってぶぶふうんんってお母ちゃんが、近くの白い桃の木の下にたどり着いて、私を、大きな声で呼びました。けいちゃん早くなさいってはあい、って私は、駆けていってぱちんぱちんと雨音を桃の花が弾くのを見てやわらかな桃の香りをかぎました。


自由詩 黄色い目 Copyright 水菜 2016-12-06 02:30:23
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