ウソップ童話「一張羅のドラゴン」
花形新次

「寒い、凍えてしまう!」
ドラゴンは
半袖ポロシャツしか
持っていなかったので
冬になると
凍死しそうでした
それよりも何よりも
自分の発言が寒過ぎて
夏場でも凍傷になるほどでした
「このままでは春先、道端に
花が手向けられてしまう」
実際、ドラゴンが死んでも
誰も何とも思わないし
花代が勿体ないので
誰も手向ける訳ないのでした
すると、そこに空からグースが
舞い降りました
震えているドラゴンを見かねたのでした
グースはドラゴンに
自分の羽を抜きダウンジャケットに
するように言いました
グースはドラゴンがお礼を言うのかと
思っていると
ドラゴンは根拠のない自信に満ち溢れて
「貧相な羽だね、もっと暖かいのが生えてから
来てね、ガンバ!」と言いました
グースは軽い殺意を覚えましたが
どうせ春までもたないからDDMEと思いました

そんなドラゴンとグースを
これまた空からやって来た大怪獣が
「俺は有名作家や詩人の模写をして
その人に成りきるんだゾー!」と
誰も聞いてないことを叫びながら
ひと飲みしましたとさ

めでたし、めでたし




自由詩 ウソップ童話「一張羅のドラゴン」 Copyright 花形新次 2016-12-06 00:57:50
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