ちいさな願い
はだいろ

ほんとうの仕事ってなんだろう
ぼくのほんとうの仕事は

どうか
転がってなくなってしまったぼくのシャチハタが
誰にも誰にも
決していつまでも見つかりませんように


ぼくはぼくを避けるような人を
信用しないようになっている
ぼく自身が他人のリトマス試験紙だ
少なくとも
ぼくにとってはね

50歳で子供が3人いる妻帯者が
リストカットの痕のあるデリヘルの女の子を
来週7時間買い占めて
山のようなプレゼントを贈るそうだ
ぼくはその子を抱いたのだけど
こころは
2ミリほどなくさめられた


女性の社会進出を応援しますだなんて
男性社会の男が宣言したって何の意味もない
男性中心主義を破壊します、
と女装して宣言してほしい、
うちの社長には


転がってなくなってしまったぼくのシャチハタを
どこか深い暗闇で
小さな邪悪な妖精が
小市民の決定権に悪用していてほしい
その穢れなき願いのために







自由詩 ちいさな願い Copyright はだいろ 2016-12-02 23:13:56
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