くたばる手前で生きてやれ
ホロウ・シカエルボク




ろくすっぽ砂も噛んだこともねえ表六が
干し過ぎた柿みたいな遺書をしたためる魂の童貞
笑わせんなよ、書き終わらないのは
心残りのせいじゃねえ、終わらせる気がないせいさ

「青い果実でごめんなさい」と熟れぬ恨みの裏返し
昨日自分で済ました右手でこの世の憂さを書き殴り
飽きました疲れましたもう何もかも嫌になりました
笑わせんなよ、酸いも甘いも
この世は地獄で間違いねえさ

お前がクダ巻くその前に
制限時間は決まってる
くたばる手前で生きてやれ
細い身体で立ってやれ


天国はない、ただ地獄があるだけ
愛はない、ただ欲望があるだけ
金があるだけ、見栄があるだけ、嫉妬があるだけ
惰性があるだけ、掃き溜めがあるだけ
嘘があるだけ、小競り合いがあるだけさ

殴られ野次られ糞かぶせられ
血を吹くほどの悔しさで
存分な醜態、晒して立ってやれ
恥じるのは
自分を諦めることだけでいい
くたばる手前で生きてやれ
細い身体で立ってやれ


お前の内に眠ってる
お前の生きてる理由、それだって
本当は嘘だぞ
本当のことは長生きしなけりゃ判らない
ある日突然見えてくる
生き続けるための理由が
生き続けてこれた理由が



くたばる手前で生きてやれ、おまえの人生


お前も知らない理由がある


自由詩 くたばる手前で生きてやれ Copyright ホロウ・シカエルボク 2016-12-02 20:30:45
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