ひとり
深水遊脚



即席のロマンスの跡残さずに冬陽のなかで握る珈琲


休日は黒を身につけバスに乗る猫なで声の断定のがれ


あたたかいときに限って曇り空今夜も星はみないで眠る


珈琲を溢さず運ぶのに馴れた心いまさら揺らせるとでも


お弁当みかんの皮のリモネンが香る掌あたためる午後


短歌 ひとり Copyright 深水遊脚 2016-12-02 20:04:21
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